| 秀作作品(21首) |
たのしみはジャングルジムのてっぺんで夕やけが手にとどきそうなとき
東山 侑樹 |
たのしみは石ころ一つけるたびにうちにちかづく道を見るとき
中梶 杏美 |
たのしみは亡き弟の面差をうつむく吾子にはつか見るとき
阿部 裕美 |
たのしみは母の弁当広げつつ冷めた温もり味わう時
片谷 愛美 |
たのしみは寝息をたてる幼子のわずかばかりの歯が見えるとき
馬野 将幸 |
楽しみは読めば読むほど薄くなるしおりを外して本を読む時
中山 梢子 |
たのしみは父の遺せし椅子に座し父に似し雲探しゐるとき
加古 親 |
たのしみは夜ごと剥きたる渋柿が光透くまで干し上がるとき
吉田 尚子 |
たのしみは来年の運計るごと文具売り場で手帳選るとき
中村 このみ |
たのしみは若嫁の出すドレッシング洋風の名を口に出すとき
石田 礼子 |
たのしみは妻と里山歩きつつ互いのくにを話し合うとき
高木 輝夫 |
たのしみは盲いた妻の手をとって石蕗の咲く日向ゆくとき
福島 海光 |
楽しみは青菜漬けが去年より母の味へと近づいたとき
柏屋 若子 |
たのしみは我が武器バリトンサックスと魂の歌奏できるとき
下内 忠明 |
楽しみは幼なかった弟が見ないうちに成長した時
伊東 勇太 |
楽しみは電車で向かう冬の町光の中で待ち合わせる時
原田 兼之進 |
たのしみは離れて暮らす嫁からの孫を預かる依頼あるとき
西谷 勲 |
楽しみはコツを掴んだアルデンテ丁度いいねと母笑う時
中村 いづみ |
たのしみは暗き内より山に入り夜明けと共に茸採るとき
河西 健二 |
楽しみは私があげたネクタイが父の首元で揺れている時
室野 未来 |
たのしみは蓬若葉の香を詰めて届いた餅の箱荷解くとき
横光 貞学 |