福井市グリフィス記念館

愛宕坂茶道美術館

橘曙覧記念文学館

ふくい歴史マップ

福井市

 

平成独楽吟

第21回(平成27年度)受賞作品

平成独楽吟部門
           
入賞作品
橘曙覧賞(最優秀賞)
たのしみは祖父のとなりで肩ならべ見よう見まねでろくろする時

山本 稜
福井県知事賞
楽しみは錆びた自転車ぎいぎいと音高らかに祖父が来るとき
松下 幸子
福井市長賞
たのしみは朝の光をかき混ぜてふんわりオムレツジュッと焼くとき
吉川 弘子
福井県教育委員会賞
楽しみはえん筆の音カカカカカテストの問題書いているとき
藤居 侑紀友
福井市教育委員会賞
たのしみは君の魂ズドーンと僕のミットにはいりこむとき
鶴谷 陽
福井新聞社賞
たのしみは嫁いだ姉の新居にておふくろの味噛みしめる時
村上 涼
日本放送協会福井放送局長賞
たのしみは読みおえた本交換しいつか本棚君になるとき
青木 咲子
福井中央郵便局長賞
たのしみは白桃ひとつ捧げもちすっと皮むきかぶりつくとき
河野 成実
熊本市賞
たのしみは明日は会えると君のこと考えながら靴みがくとき
安田 彩乃
歴史のみえるまちづくり協会理事長賞
たのしみは墓の草引くひとときに舅(ちち)とのなれそめ姑(はは)に聞くとき
河野 雅子
学校賞
秋田県 秋田大学教育文化学部附属小学校
学校賞
福井県 福井市和田小学校

秀作作品
たのしみはダルマストーブ本気だし冬将軍が手足出ぬとき
田中 勝
たのしみは毎週火曜のカレーの日兄の「ただいま」を耳にするとき
坂田 梨沙
たのしみはとんぼがふらり横切った父と母かとふと思うとき
梅ア 敦子
たのしみは年に一度の姉妹会六人育てし母ほめあふとき
畠山 みな子
楽しみはホタルブクロを二、三本残し畦草刈り終へしとき
畠山 昭二
たのしみは一週間ぶりの父さんとくだらないこと語り合うとき
野島 さつき
たのしみはきゅうしょく後昼やすみにともとだいじなほんを読むとき
山ア 大生
たのしみは夫と判り身をゆだね笑顔の妻を介護するとき
瀬戸 佐多市
たのしみは苦心惨たん焼き上げてだし巻妻に食べさせるとき
森田 啓吾
楽しみは米百俵の出荷終え妻と熱燗飲みかわすとき
小野澤 竹次
たのしみはコンクリートのひびわれに小さな花が咲いていたとき
横山 瑠璃
たのしみは身長計っておどろいたキリンのようにせがのびてる時
山ア さくら
たのしみは家に帰って玄関で妹走ってきてくれるとき
西野 南海
たのしみは曲がり角をまがって家が見え家のよこに車があるとき
田中 来登
たのしみは忘れかけてたおりがみで初孫のため風船折るとき
松嶋 栄子
たのしみは覚めやらぬ朝コトコトと妻が菜刻む音を聞くとき
吉岡 健児
たのしみは団栗拾い糸に染め秋色のマフラー織り始むるとき
笠 真弓
たのしみはベランダに来るスズメらの頭の形見分けたるとき
吉田 早苗
たのしみは吐く息白き冬空に子と指合わせ星つなぐとき
足立 有希
たのしみは母を見舞いてその帰り母が名付けし芙蓉坂行く時
岸野 孝彦

一般短歌部門
入賞作品
橘曙覧賞(最優秀賞)
車椅子に息子を乗せし老夫婦鴨の群れゐる岸辺押しゆく
河野 雅子
福井県知事賞
「おかえり」と笑う田舎のばあちゃんの分厚いてのひらしっかりにぎる
川原 彩代
福井市長賞
親の亡きわれがわが子に残すもの母親代わりの伯母の味付け
丸岡 里美
福井県教育委員会賞
あぜ道を駆けて渡した牛乳に目尻のしわのやわらかき父
井上 靖
福井市教育委員会賞
水鳥の集う岸辺に沿いて行く橋の向こうは父住む施設
田久保 ゆかり
福井新聞社賞
ただいまととびこむわが子のまとひける風の薫りとともに抱きとめ
榧谷 博子
日本放送協会福井放送局長賞
レール音耳を澄ませば一筋に鉄路守りし亡父(ちち)の鎚音
高橋 悦朗
福井中央郵便局長賞
母呼べば竈(かまど)の前で声がする九人家族の飯(いい)を炊きいし
加島 清子
歴史のみえるまちづくり協会理事長賞
想い出ははるかなれどもかなしけれ麦秋をゆく父の葬列
横井 正男

秀作作品
太陽を吸った布団に飛び込んで息子と泳ぐ日曜の午後
小林 功
さっぱりと巣立っていって六畳に思い出だけが散らかっている
斎藤 洋子
じいちゃんにどこか似ている向日葵は背すじ伸ばして迎え火を待つ
船田 麻実
自慢気に孫(こ)らも骨格儂似(わしに)じゃと云ってた祖父のその骨拾う
松川 涙紅
(へつふつ)と杖つき歩き(てきちょく)と窓辺に妻の見舞ひ待ちをり
西部 稔
夫が拾ひ吾が皮むきて嫁が作る小粒の栗の入りしケーキ
畠山 みな子
お兄ちゃんわたしがうがいするときにへんがおしてきてこまってしまう
小西 樹
わが袖に蜻蛉(とんぼ)止まれり薔薇の園逝きしばかりの母とぞ思う
浜本 すみれ
葬り後の忙しき日々過ぎゆきて遺影の母と日溜りに座す
横井 和幸
車椅子押しつつ思う若き日の二人歩みし同じこの道
阿部 堅市
一人なら濡れても行くが子と二人セブンイレブン傘を購ふ
三吉 誠
おこられて泣いてるときになぐさめる家族みんなの手が温かい
田中 夢乃
弟と雪のふる日に外へでてめっちゃべちょべちょ今はかぜ声
松本 陽平
あんこもちかきもちくさもちとちもちがぷくりふくらむひばちのうえで
増田 邦比古
明日には一人暮らしに戻る子に零余子(むかご)ご飯を碗にひともり
志賀 直子
ひとひらの銀杏(いちょう)もみぢをセーターに飾りし日あり君と旅して
河上 奈津代
巣立ちゆく息子の部屋に残されたアルバム開けば母への手紙
水谷 あづさ
毛糸編む指にリズムを奏でつつ母は一篇のソネットとなる
金澤 諒和
亡き母の筆跡に見えるメモ書きの見つかり座り込む大掃除
宮崎 江美
八十八の母の手を引き駒ヶ岳の霧の流るる山頂に立つ
河野 成実

   
公益財団法人 歴史のみえるまちづくり協会