福井市グリフィス記念館

愛宕坂茶道美術館

橘曙覧記念文学館

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福井市

 

平成独楽吟

第24回(平成30年度)受賞作品>

独楽吟部門

           
入賞作品
橘曙覧賞(最優秀賞)
楽しみは出来たぞ孫がようやくに杉三代の苗植えるとき

湯乃村 紘一

福井県知事賞
たのしみは「?」も「。」も使わない母からのLINE読み返すとき
成田 有里

福井市長賞
たのしみはかえるアメンボかたつむりみんな集まる雨がふるとき
山内 空

福井県教育委員会賞
たのしみは買い物カゴを「僕が持つ」前を行く子の背中見たとき
堤 善宏

福井市教育委員会賞
たのしみは妹寝た後こっそりとやわらかいほっぺつついてみる時
炭竃 凛奈

福井新聞社賞
たのしみは地下鉄乗り換えやってくる卒寿の母の「来たでぇ」聞くとき
松井 詔子

日本放送協会福井放送局長賞
たのしみはジェットコースターてっぺんであと一秒で鳥になるとき
吉住 来花

福井中央郵便局長賞
たのしみは孫の手紙の平仮名が文字らしくなり読み解けたとき
阿部 昌彦

熊本市賞
たのしみは双子の兄とタイミング合わせてないのにそろって言う時
玉本 風斗

歴史のみえるまちづくり協会理事長賞
たのしみはもうすぐ上がる中学へ九人一緒に進学するとき
島田 そら

学校賞
沖縄県 沖縄三育小学校

学校賞
福井県 美浜町立美浜中央小学校

秀作作品
たのしみは玄関先を掃きながら登校の子と会話するとき
野村 ひとみ

たのしみは筋トレジムへ通う妻帰り待ちつつ米を研ぐとき
小牧 悦二郎

たのしみは夫の遺しし句の中に吾を詠みたる句のありしとき
京極 良子

たのしみはじいじ下手だと言われつつ孫の相手のボール蹴るとき
北村 純一

たのしみは対戦相手とそんきょして相手のすきで一本取る時
久保 寛人

たのしみは小さないろがみてのひらで生まれたつるが羽広げるとき
植村 和香子

たのしみは陸上のとき先頭で忍者のように走ってるとき
池戸 俊太

たのしみは帰省の子らの脱ぐ靴の大きくなりしが並びたるとき
中塚 幸子

たのしみは海辺に続くおばの家ゆっくり歩き懐かしむとき
松井 真美

たのしみは大漁報せる夫(つま)からの嬉々とした声耳にするとき
梅田 貴子

たのしみは「今年で最後」のくりかえし母と一斗のもち米とぐとき
亀田 親子

たのしみは新しいくつ買った後よごさないようきをつけるとき
中田 航太郎

たのしみはマウンドの上で白球を自分の指に当てている時
吉田 脩人

たのしみはプレゼントしたマグカップ祖父母がそれでコーヒー飲む時
山村優友

たのしみは去年の浴衣裾下ろし目を細めつつ児に着せるとき
安田 清一

たのしみは売りに出せない茄子を揚げ妻とくつろぎビール飲むとき
興呂木 和朗

たのしみは故郷の祖父母と電話する娘の言葉がなまっていくとき
小野寺 杏里

たのしみは夫(つま)とペンキで登山道の案内の札作るひととき
瀧澤 淳子

たのしみは洗濯の山ひとつふえ干した産着に陽のあたるとき
菅 寛子

たのしみは口答えする幼子の言い分に理があるというとき
田中 亜紀子

テーマ短歌部門(テーマ:あの日)
入賞作品
橘曙覧賞(最優秀賞)
母の背であの日見上げた赤とんぼ今は背負った母と見ている
小林 功

福井県知事賞
機銃掃射必死に逃れ舟底へ潜り生還あの日忘れじし
橋本 教専

福井市長賞
目覚むれば蚊帳のうちにて母吾を扇ぎいし風の涼しきあの日
佐々木 邦子

福井県教育委員会賞
行季背負(しょ)ひし父と並びて停車場へ春まだ浅き旅立ちの朝
永田 弘子

福井市教育委員会賞
逆さまの世界を二人で覗こうと校庭の水たまりにしゃがむ
宗藤 ふたば

福井新聞社賞
妻連れて赴任の日見る九頭竜の雪の残れる山の高さよ
木下 晴生

日本放送協会福井放送局長賞
思はざる退職勧奨に我はただドアー後手に部屋を出でにき
中長 昌一

福井中央郵便局長賞
手を取られマニュキア塗られてほほ笑みき緩和病棟にあの日の母は
後藤 由美子

歴史のみえるまちづくり協会理事長賞
焼夷弾のすだれの中に消えた母三月九日疎開児八歳
田中 美代子

秀作作品(テーマ:あの日)
兄家族送り出してもわが親と福島残る覚悟決めし夜
油谷 文恵

嘘をつき義母(はは)を入院させた日の夫(つま)と見上げた霙(みぞれ)降る空
松村 美知子

ただ一度夫が酒を飲んだのは出征前の夕飯の膳
柏屋 なよ

「呉に着く」兄生還す戦終え三年経った母のあの日よ
今岡 久代

サイパンの陥落知らされ我産みし心細さを晩年に聞く
石塚 洋子

拉致されしあの日を語る地村氏の顔がたまゆら曇る瞳の中
織田 香寿子

病みし身をひたむきに生きて兄逝きぬあの夏の日の光の向かう
鎌田 澄子

放課後の静まりかえる教室にふたり見ていた秋の夕焼
近藤 國法

沖縄のあの日忘るなと青空にうねりてひびくシュプレヒコール
塚田 和喜

こんでいて君との距離が近くなる心臓の音聞こえちゃうかも
佐藤 月

「行ってくる」背中(せな)で手を振り越前へ日本一の研ぎ師になると
小森 正美

震災の刻(とき)がとまったままの家荒れ野の中に哭きながら佇(た)つ
大熊 佳世子

金に照るすすきの中をかき分けてまだ小さかったあの日を探す
中元 悠

移転先記す葉書の片隅に「仮設ですが」と被災地の友
荒井 紀恵

昨日より見上げた空が青すぎてあなたを好きと気付き戸惑う
河田 琴栄

暁光(ぎょうこう)の引揚船の甲板で父が指差すあれが内地と
熊本 芳郎

ひゅるひゅると闇夜に聞こゆ焼夷弾幼児の僕はあの日忘れず
柳谷 益弘

大人なぞ信じられぬと制服を縦に切り裂き泣いた十四(じゅうよん)
遠藤 陽子

洗顔後鏡にうつる秒針が左にまわる退職の朝
井上 靖

いくたびの夏をこえても満洲のあらき荒野が祖父母の故郷
有友 紗哉香

   
公益財団法人 歴史のみえるまちづくり協会