芝原上水

【芝原上水 石碑】

【芝原上水 石碑】

所在地:福井市宝永3丁目1-1

福井の命の水 芝原上水(用水)
芝原上水は、慶長6年(1601)福井藩祖、結城秀康の北庄城(福井城)大改修のとき、家老の本多富正に命じて飲料水確保を目的に造らせた。
城下の北東約8kmの「芝原郷(現:松岡町)」で九頭龍川から取水したのが名称の起こりである。上水路は城下町の北東に位置する志比口で、城内への流路と城下町への流路に分流した。
水は、飲料水の他、藩主別邸の御泉水屋敷(現:養浩館庭園)の泉水や、城郭の堀への取水などに使われ、下流域では染色や農業用水に利用されるなど、城下町福井の「命の水」であった。
福井藩では、芝原上水を厳重に管理し、ゴミや雪の投棄、洗濯などをした者は厳しく罰せられた。近代になると上水道の普及に伴い、飲料水としての役割はしだいに薄れ、潅漑用水・防火用水として主に活用された。
平成7年度から、福井県による水環境整備事業による水路改修・親水空間整備が行われたが、平成8年度の工事で、かつての水路の石垣護岸が出土し、保存を望む市民の熱意と関係各位のご努力により、往時の水路の様相を残す貴重な歴史遺産として復元保存がなされた。水路護岸の手前の石垣が下の写真である。
なお、現在は、管理者である「芝原用水土地改良区」や、市民運動団体の「芝原を美しくする会」等により、水質浄化や水環境整備の努力が続けられている。福井市の歴史にかけがえのない役割を担ってきた。「芝原上水(用水)」が、市民の愛情と自覚によって一層浄化され、今後も末永く人々に潤いと活力を与え続けていくことを願うものである。